ご挨拶
日本大学医学部形成外科学教室は2001年に当時の第2外科の中に診療科として開設されました。故佐々木健司先生が初代教授として教室の礎を築き2004年に形成外科学講座として独立しました。その後、2010年に仲沢弘明先生が2代目教授として着任し、臨床と基礎研究を両立させた教室を目指して発展しました。そして、2020年4月に3代目教授に就任し、教室の運営を引き継がせていただきました。
形成外科は体表面全体のあらゆる異常状態を診療対象とし機能的・形態的快復を目指す外科です。その診療範囲は創傷外科、再建外科、先天異常、腫瘍外科と多岐にわたりますが、共通した理念として、個人の社会適応およびQOL(quality of life)を高めることを目指していることです。従って、体表面の異常を単に修復するのみならず、いかにきれいに、キズアトを目立たせずに治すかに注力しています。
当科が目指す形成外科診療のキーワードは低侵襲治療です。顔面骨骨折は独自の低侵襲治療法により顔面の皮膚切開を最小限として治療を行い、胸郭の先天異常である漏斗胸・鳩胸は胸腔鏡補助下にペクタスバーによる矯正術を積極的に行っています。広範囲重症熱傷、巨大獣皮様母斑などの広範囲皮膚再建を要する疾患に対しては、健常皮膚の犠牲を最小限とするべく、再生医療を導入した皮膚再建法を一刻も早く確立するために基礎研究にも力を入れています。また、日本大学医学部附属板橋病院は、がん診療連携拠点病院として、頭頸部領域をはじめとして整形外科、消化器外科とも連携して多くの悪性腫瘍切除後の再建手術も行っています。
教室員が一丸となって、地域医療の更なる拡充と先進的医療の提供に邁進する所存です。
日本大学医学部形成外科学教室
主任教授 副島一孝