教授挨拶
教授挨拶
2023年が早くも終わろうとしています。人体病理学分野の最近の最大のトピックスは2022年2月に准教授として宇都健太先生が赴任され、さらに2023年10月からは助教として中野雅之先生に来ていただいたことだと思います。本学の幅広い病理検体の診断業務の中で、循環器内科と病理の専門医を持っている宇都先生は診断業務とともに、研究面でも活躍が期待されています。また小児がんの病理診断に携わってこられた中野先生の貴重な経験は本学にとって重要な戦力となること間違いなく、今後の活躍が期待されています。お二人とも大変温厚な先生であり、周囲への気配りもできる人格者です。また学部学生や研修医の先生に対し非常に教育熱心であることもお二人の共通点です。このような先生方とご縁があったことを大変嬉しく思っています。お二人の赴任で人体病理学分野のスタッフも揃い、診断・教育・研究に対して盤石な体制が整ったと思います。
研究面では3月に病理学の大学院生であった小山裕先生が、「末梢動脈疾患の病理組織学的検討」で無事学位を取得し、原著英文論文として発表しました。彼の地道な努力が報われた研究成果でした。現在は循環器内科医として臨床を主体に活躍されていますが、循環器疾患の病理学的研究の継続を希望されており、今後も支援を継続していきたいと思います。また小児外科学分野から病理学の大学院生として研究に従事している傳田侑也先生は来年3月の大学院卒業予定で、現在論文執筆に奮闘中です。偶然ですが、小山先生も傳田先生も私と同じ埼玉県立浦和高等学校出身で、時々ローカルな話題で盛り上がっています。同じく小児外科学分野から病理学大学院生として研究に従事している福田安希代先生は、まさに現在進行形で研究のリアルワールドを実感している最中で、様々な障壁に立ち向かって頑張っています。循環器内科学から病理学大学院生として母坪友太先生をお迎えしました。現在これからの研究テーマを模索しているところで来年は本格的に実験に取り組む予定になっています。専修研究員の山田清香先生は大学院生の研究支援とともに、ご自身の研究テーマについても取り組み、2023年11月に行われた第62回日本臨床細胞学会秋期大会では「子宮平滑筋腫瘍における細胞骨格蛋白関連分子smoothelinの発現」として発表した研究成果が優秀演題賞に選ばれました。現在原著論文の発表を準備しています。
教育については医学部2年生の病理学の講義・実習も新カリキュラムとなり、講義内容もさらに充実したものとなっています。コロナ禍でのオンライン講義から全面対面授業になり、対面講義の重要性を我々教員も実感しているところです。学生の皆さんと同じ空間を共有して講義をすることは、私たちとしても大変嬉しい時間です。CBTの公的共用試験化、国家試験の合格ラインの上昇など、医学部生の皆さんはますます地道で継続的な努力が求められています。臨床医学の土台となる病理学の教育の責務が重要であることは変わりありません。今後も教室員の皆さんと最新の情報を共有して、より良い医学教育が実践できるように努力していきたいと思います。
令和5年12月